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平成23年は東日本大震災で実施できなかったが、平成19年から文部科学 省が実施してきた全国学力調査において、初年度、小学校では秋田県が 中学校では福井県がそれぞれ優秀な成績を残したことは、教育界ならず よく知られている。 その後毎年継続して実施された学力調査においてもこの両県はそれぞれ トップエリアにあり、その地位は常に最上位にあった。 開始された平成29年当初、恐らく一年ぐらいならフロックということも あり、トップに立つこともあるだろうと見られなくもないこの両県だっ たが、その後引き続き、毎年実施された学力テストでも常にトップクラ スを維持し、ここにおいて改めて全国からの注目を集めたものだ。 この両県の小中学生がこのような好成績を維持する要因はどこにあるか。 どのような学習を続けているのか。その実態を探り知るために、いろい ろな角度から注目され調査も行なわれた。 社団法人日本家庭生活研究協会でも、各方面からの情報を仕入れ、関係 者にも取材し、縷々その実態を分析してきた。 その結果、確信を得たことは、この両県とも共通して学校、家庭、地域 社会が三位一体となり、それに教育行政がぴったり寄り添いながら、当 に陰となり日向となっての関わり合いを保ち、それぞれの機能がうまく 絡み合う関係を作り上げたところに大きな要因を見出すことができるの である。 そこに見られることは、普通ならば当然考えられる「勉強しなさい」と いった親の強制とも取られる言葉や態度はほとんどなく、目立つのは子 どもが自主的に勉強をする意欲的な姿である。 1月22日、東京・千代田区の日本教育大学院大学を会場に行われた社団 法人日本家庭生活研究協会主催の教育シンポジウムは、秋田県の教育に 焦点を合わせ、「秋田・トップクラス持続の要因とその授業」をテーマ に、秋田大学教育文化学部阿部昇教授の講演、秋田県の中でも特に好成 績を維持している秋田県南部の大仙市の実態を、大仙市教育委員会三浦 憲一教育長にご報告頂いた。 今回のシンポジウムでは全国学力テストの得点だけでなく、同時に行な われた学習状況調査(生活習慣や学習環境に関する質問)についても詳 しい報告が行われた。今回阿部教授から学習状況調査について秋田県の 状況の詳しい解説があった。この調査から秋田県の子供たちの次のよう な様子がわかった。 秋田県の子どもは、 (1)熱心で落ち着いて学習している 「私語が少なく落ち着いている」が小学校では全国平均を19.9ポイント 上回り、中学校では23.9ポイント上回る。「礼儀正しい」は小学校が21.1 ポイント、中学生では22.6ポイント上回る (2)考えを話したり書いたりする学習、及び話し合い、意見交換をする 学習をしている 「授業で友達と話し合う活動」が、小学校では8.9ポイント上回るが、中 学生は20.2ポイントも上回る。「国語で資料を読み、自分の意見を話し、 書く」も小学校で13.7ポイント、中学校でも17.6ポイント上回っている (3)家庭での学習習慣が定着している 「家で学校の復習」をする人は全国平均を小学校で37.2ポイント、中学 生で31.0ポイントも全国平均を上回っている「家で苦手な教科の勉強」 をする人は小学生、中学生ともに 22.3ポイント上回る。 (4)補充的学習及び少人数学習・個別指導が早くから行われている 「放課後を利用して補充的学習(週4日〜月間数回程度)」を行なうこ とは、小学生で13. 0ポイント、中学生で13.7ポイント上回っている。 (5)家庭・地域と学校の連携が強い 「地域の行事に参加」は小学校で15.8ポイント、中学生で5.6ポイント、 「全国学力テストの結果を家庭・地域に公表して説明」は、小学生で19.5 ポイント、中学生で18.5ポイントそれぞれ全国平均を上回る。 (6)生活習慣が安定している 「家族と夕食を一緒にする」は小学生が5.9ポイント、中学生が7.2ポイ ント。 「朝7時前に起床する」は、小学生が15.7ポイント、中学生が16.7 ポイントを示し、「夜 10時・11時前に就寝」が小学生(10時)で12.3ポ イント、中学生(11時)では6.7ポイント全国平均を上回り、早寝早起き の生活習慣が維持されている。 (7)教師間の優れた授業研究(研修)のシステムを有し、活発な活用。 (1)校内授業研修会、小中連携授業研修会、地域(市町村)授業研修 会等の充実「算数・数学の家庭学習課題の与え方の共通理解」が、小学 校で24.5ポイント、中学校で14.5ポイント上回る。「指導計画表作成で は教職員同士が協力し合っている」は小学校14.2ポイント、中学校20.6 ポイント全国平均を上回る。 (2)県教育委員会・市町村教育委員会・各学校の連携 (3)大学と県教育委員会・市町村教育委員会・各学校の連携 (4)県・地域の施策・事業 「教育専門監」の配置、「算数・数学学力向上推進事業」「国語力向上モ デル事業」「学校・大学パートナーシップ事業」「算数・数学学力向上の ための支援ウェブページ」「県学習状況調査」等 (8)以上は子ども達の動向を調査した結果である。いずれの項目ともに全 国平均を大きく上回って、秋田県の子ども達はその行動の中にいるとい うことがわかる。授業中の私語が少なく落ち着いている子ども、礼儀正 しい子ども、その一面で授業では友達と話し合い、資料をしっかり読み、 自分の意見をはっきり言い、書いたりしている。 感心することは家庭学習の習慣において、全国平均を大きく上回ってい ることだ。しかも苦手な教科も家でしっかり自習する姿はじつに前向き の取り組みである。これは家庭学習を定着させてきた教師たちの指導が 生きているのだろう。 阿部教授の解説でもまた三浦教育長の報告からも理解できたことは、多 様な研修をそれぞれの教師たちが前向きに捉え、その中に同化しながら 活発な意見交換、提議、実践が見て取れることだ。 教育専門監や指導主事、教育長の訪問を歓迎している姿は、自らの指導 に自信を持ち、あるいは積極的に改善に取り組む前向きの姿勢だ。それ はすべて、自分が今教えている子ども達のためであることを強く意識し た姿である。 <おおかま しげあき(社)日本家庭生活研究協会常務理事 NPO法人教 育情報プロジェクト代表>大釜 茂璋 |
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