「日本一になれるか、なれないかの差」

丸谷明夫(大阪府立淀川工科高等学校名誉教諭・吹奏楽部顧問)


演奏ってね、言われたとおりに吹いてたらあかんのですよ。
積極的に自分からかかっていかんと。

僕はいつも

「自分らで音をつくっていけ、かかっていけ」

と言うんですが、昨日も練習を聴いていたら、
やっぱり言われたとおりに吹いている。

そんなもの、うちの学校では一つも偉いことはない。


「自分はこう吹くから、こんなふうに指揮を振ってほしい」

と僕に言ってくるくらいの奴がいてんと困るわけですが、
そういう子を育てるのは難しいですね。

【記者:指揮者の指示どおりに動くのが、いい演奏ではないのですね】

それはもう全然ダメです。
全国でもそんな演奏が結構ありますが、それでは勝てませんね。

例えば5人の人間が一斉に歩くとしますよ。
足並みを揃えるためには隣にいる者を横目で見ながら
1歩を踏み出す。

そうすると確かにピタッと合うんですが、
どうしても動きが鈍くなるんです。

一方、5人が「せーの!」でバッと歩き出し、
結果としてそれが合っているかどうかを見る。
どっちが生き生きしているかと言えば、
5人なら5人、50人なら50人が
バッと踏み出すほうにはかないません。

ということは、棒に合わせて吹いていたらダメなわけです。
自分が吹く、それが結果として合っていると。
個々にかかってこいというわけです。

指揮棒に合わせて完璧に吹くだけなら
型どおりの演奏にしかならない。

それぞれの持ち味を生かしながら、
結果として合わさった音が生き生きしている。
これが日本一になれるかなれないかの差です。
『致知』11月号特集テーマ「一念、道を拓く」




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