「朝読み」のすすめ

小学生のころ秋田の片田舎、私たちが通う学校では、 「朝読み」とい
う習慣があった。


毎朝、玄関を掃除したり、 父親の靴を磨いたり、朝食
前のお手伝いがすんだら、 食事までのちょっとした時間、机に向かって
大きな声で 国語の本を読むことを、私たちの学校では「朝読み」と いっ
て大いに奨励していた。

もう半世紀も昔の話である。当時は手伝い齟齬とと して、毎朝、子ども
にも出来る何らかの仕事をいいつけられ、お手伝いをさせられたものだ。

私の場合は、朝食前に必ず裏庭を掃除することで、 2歳違いの弟は表通
路の雑草を抜いたり、落葉を掃き 出すというお手伝いだった。

それが済んだところで顔を 洗い、仏壇に手を合わせ、そして朝食前の
「朝読み」をするというのが、毎朝欠かしてはいけない習慣だった ので
ある。

習慣といってもこれは特別にわが家だけのことでは なく、大体その時間
になるとあちこち子どものいる家々 からは、「朝読み」をする元気な子
どもの声が澄んだ朝 の空気を突き破って聞こえて来たものだ。

そんな子ども時代を送ったものだが、久しぶりにこの 夏帰省した折り気
づいたことだが、あの「朝読み」をす る声がさっぱり聞こえてこないの
である。子どもが少なくなったということもあるだろう。

しかし一人もいなくなったわけではない。ピーンと張り詰めた 朝の空気
を震わせて読んでいたあのころの子どもたちの声はどこへ行ってしまっ
たんだろう。

声を出して本を読むことは、静かに文字を目で追いながら読むこととは
違い、字をしっかり見ながら大きな声で発音することから、書かれてい
る情景がしっかり心に刻まれる。声を出すことで気持ちはすっきり目覚
め、今日もしっかり勉強をするぞとモチベーションを高める効果となる。

英語を音読している人は、実際に英語を話すときの口がスムーズに動き、
発音も滑らかになるという。

そこで考えたことは、「朝読み」の習慣を英語学習に転用したらどうだ
ろう。現代の子どもたちが毎朝お手伝いをしているかどうかはわからな
いが、朝、顔を洗ったら、教科書でもよい、自分の好きな英語の読み物
でもよいし韻を踏んだ英詩でもよい。

毎朝食事前の5分でも10分でも、大きな声で英文を読むことを習慣づけ
てはどうだろう。古来、多くの人が取り入れてきた勉強法ではあるが、
これを勉強と考えると気が重くなる人もいるだろう。

そこで単なる習慣としてこれを続けることは年齢やレベルを問わず、英
語学習のモチベーションを高める方策として効果を発揮するのではない
だろうか。(大釜 茂璋 NPO法人教育情報プロジェクト代表)


この記事へのコメント

この記事へのトラックバック