再登板した者の義務・安倍内閣

あっと驚くような顔ぶれではなかった。これといった目玉閣僚がいるわ
けでもないし、新鮮味に乏しいと言えば乏しい。だが、そもそも組閣は
国民を驚かせるためにあるのではない。選ばれた閣僚がそれぞれきちん
とした仕事をしてくれればいい。


日本が危機的な状況にある今、そこだけが26日に発足した第2次安倍内
閣に対する評価の基準である。

もちろん、野田佳彦前首相による閣僚人事よりはずっとましだ。野田内
閣では適材適所の原則を大きく踏み外した閣僚の起用が多くみられた。
その道の「素人」だと自ら認める議員がその分野の担当大臣になった例
もあった。

何かの間違いではないかと思うような陣容だったのでひどく驚いた。そ
れと比べると、今回はサプライズ(驚き)がない代わりに、失敗もない
ように見える。新内閣の布陣は地味だが堅実である。前内閣より格段に
安定感もある。

平成18年発足の第1次安倍内閣では、安倍晋三首相も所属していた政策
勉強会「NAIS(ナイス)の会」のメンバーを周囲に配置したため、
「お友達内閣」と揶揄(やゆ)され、安倍首相に反感を持つ勢力による
格好の批判対象となった。

NAISは、メンバー(根本匠=N、安倍=A、石原伸晃=I、塩崎恭
久=S)各氏の頭文字をとった名称であり、それぞれが第1次安倍政権
で要職を務めた。

今回も安倍首相に近い根本氏らのほか、第1次安倍内閣でも閣僚を務め
た最側近の菅義偉官房長官や麻生太郎副総理兼財務相、岸田文雄外相、
甘利明経済再生担当相が入閣した。そういう意味で前回以上に「お友達
内閣」である。

またぞろ、お友達内閣批判が出てきそうだが、お友達で何がいけないの
か。知らない人ばかりを集めれば、それでよかったのか。

友達が集まって生ぬるい政治に堕した場合や友達の意見だけを参考にし
て誤った方向に独走したときには、非難されてしかるべきだろう。だが、
これから走りだそうとする内閣に対して、仕事をする前からお友達だと
批判するのは筋違いである。どうせ批判するのなら、安倍内閣の今後の
仕事ぶりをみてから攻撃を開始しなければならない。

はっきり言うが、安倍内閣の前途は多難である。自民党は公明党とあわ
せて先の衆院選で325議席を獲得した。だが、その巨大与党を背景に堅実
な陣容を整えた安倍内閣をもってしても、今の日本が抱える難題を解決
していくのは並大抵のことではない。

デフレ・円高対策、成長戦略などの経済政策、超高齢化社会に対応する
社会保障政策、領土政策、外交の立て直し、安全保障政策-と数え上げ
ればきりがない。その上、どれひとつとっても簡単な課題はない。

安倍首相が退陣に追い込まれた5年3カ月前と比較して、日本の状況は
確実に悪化している。状況を悪い方向へと導いたのは、直接的には3年
前から自民党に代わって政権を担当してきた民主党である。だが、第1
次安倍政権と、それに続く自民党政権がもっとしっかりしていれば、こ
ういう事態に陥らなかったとも言える。

日本は非常事態にある。そんなときに、なぜ国民が一度退いた人物を再
登板させたのか。安倍首相はその歴史的意味を十分に理解して国の運営
にあたらなければならない。安倍首相には国民の期待と信託に応える義
務がある。(ごじま きよし)産経新聞政治部長

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