岡本綾子の「私の履歴書」(2)

「映画『風と共に去りぬ』の名セリフ、『明日は明日の風が吹く』が頭に
残っている。未知の世界でやることはいっぱいある。風に吹かれて、『半
農半ゴルフ』の田舎暮らしをのびり楽しむとしよう」。ですって。


5/31岡本綾子(以下「岡本さん」)はこう書き、最終回(30回)をあっさ
り終えた。一陣の薫風が吹いていった。1ヵ月の長丁場、お疲れさま。率
直で楽しかった「履歴書」に感謝する。

小説の原文は”Tomorrow is another day.”である。「きみをうらんでは
いないよ」と言い残し、レット(・バトラー)は去った。それでも、ス
カーレット(・オハラ)は昂然と顔を上げ、孤独と絶望から一歩を踏み出
す。小説最後の「声なき言葉」だ。

”I'll think of it all tomorrow,at Tara.I can stand it
then.Tomorrow, I'll think of some way to get him back.After
all,tomorrow is another day.”(2002/2/22講談社ルビーブックス30後
編3 第1刷)

(みんな、明日、タラで考えることにしよう。そうすれば、なんとか耐え
られるだろう。明日、レットをとりもどす方法を考えよう。明日はまた明
日の陽が照るのだ)(平成16年12月25日・新潮文庫51刷改版・訳者 大久
保康雄・竹内道之助)

映画の字幕は(・・・明日の陽が照る)ではなく、”After all, tomorrow
is another day."(結局、明日は明日の風が吹く)であった。つまり、
「明日は(絶望の今日とは)別の日になるわ。(どうにか、よく、なる
わ!)」だ。最後まで敗北を認めたくない誇り高いスカーレットである。

絶望の崖に立つスカーレット(45歳)とは違い、岡本さん(62歳)は余裕
綽々だ。でも「まだ、やる!”Tomorrow is another day.”」と静かな闘
志を燃やしているかも。文章表現は「のんびりで、ふにゃ」だけど(笑)」。

私が中学生の頃、石原裕次郎は同名の映画で「♪明日は明日の風が吹く
(1958)」と歌い自ら演じた。就職した頃、アン真理子は「♪明日という
字は 明るい日と書くのね(1969)」と歌詞を書き、歌った。

ずっと後、中島みゆきはNEVER CRY OVER SPIRIT MILK(1999)」で「♪昨
日は昨日 明日は明日(涙は過ぎたこと)」と書き下ろした。

大昔のペルシャの詩人・数学者・天文学者のウマル・ハイヤーム
(1050-1123頃)は書いている。「わしは、水のように流れてきた。風の
ように吹きすぎていく」と。(「一日一言」桑原武夫編・岩波新書)。

だれの、どのような人生にも「明日は明日の風が吹く」のだ。私たちは、
今日が辛くても、明日を信じ、今日を、ぽつぽつ、生きていく。

ところで「私の履歴書」の題字である。岡本さんならば豪快な丸文字かと
思いきや、高級(と思われる)万年筆によるきわめて繊細な達筆のペン字
である。その手指が絶妙なアプローチショットを生むのだ。

1981年山陽クイーンズ(赤坂CC)の前夜パーティに出かける上司に「岡本
綾子のサインを!」と頼んだ。鼻の下が長い彼が貰ってきたのは美人の磯
村まさ子(21歳)の下手なサイン。ゴルフは顔じゃないというのに・・。

「何人かにプロポーズされ『このまま付き合っていたら、いずれは結婚す
るだろうな』と思う男性も5、6人はいた。みんな優しい人だった」と
「数々の恋」にある(5/24)。

結果は「結婚よりゴルフを選ぶ」ことになり岡本さんの恋は成就しなかっ
た。「健康優良児で表彰された」ほどの彼女に子供がいたら、米メジャー
優勝を託せただろうに・・・。

ならば「AYAKOの恋」を(捜索するのではなく)小説に創作してみたい衝
動に駆られる。5,6人の相方だから純愛より恋のはしごの物語かな。

「私の履歴書」のアウトコース(5/1~5/15)に比べ、インコース(5
/16~5/31)は順風(フォロー)と逆風(アゲインスト)に横風が入り乱
れ、いささか荒れたラウンドになったようだ。

恋に破れ、腰痛悪化、甲状腺異常、子宮筋腫まで。しかし、米国賞金女
王、ゴルフ世界殿堂入りも。栄光と挫折は隣り合わせなのだ。

岡本さんは物事をあっけらかんと書く。嫌みに思われるような表現でも憎
らしくない。腹に一物などがないとわかるからだ。

樋口久子(以下「樋口さん」)には、前半の「ちくちく」を後半で埋め合
わせお返しした。「紫綬褒章を受賞したのは本当にうれしかった」
(5/27)。女子プロ協会会長選挙では若い選手の票をとりまとめたとい
う。岡本さんの言動には真情がにじみ出ている。

樋口さんは、仕方がないわねと笑って許しているだろう。その意味では、
樋口さんは、岡本さんより(世間的には)ずっと大物である。

岡本さんが指導する門下生(全5人)の活躍も続く。2013/5/26のブリヂス
トンレディース(中京GC)で森田理香子が逃げ切り優勝した。岡本さんの
「私の履歴書」に花を添えた。

また、6/2最終日のリゾートトラストレディス・関西ゴルフ倶楽部でも、
門下生が好成績をあげた。服部真夕(2位)、森田理香子(3位)、表純
子・若林舞衣子(4位)。青山加織は52位:がんばれ。

最終回(5/31)に「健康を考え、昨夏からはダイエットを始めた」とあ
る。だが、ほどほどにしてほしいと思う。私は太目の女性が好きだから。

ダイエットでは無理をしないで、(太くてもいいから)着やせする「服」
を探してください。(2013/6/3 千葉市在住)  馬場 伯明

 

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック