上原浩治がMLBで活躍できる理由

 このところ、NHKのBSで日米の野球の解説を聞いているようになって、誰
が信頼するに足るプロ野球のOBかが解るようになって来た。換言すれば、
好みの解説者が出てきたということかも知れない。


監督ないしは指導者として野球を見ているという点で確かなのが元日ハム
監督だった梨田だと思う。次に信頼するに足るのが、元は日ハムの投手
だった武田だ。

偶々3日連続で聞いたレッドソックス対タイガースの解説は、この武田に
川崎宗則(トロント・ブルージェイズ所属)が加わっていた。私は野球選
手としての川崎をそれほど評価していなかったし、MLBで内野手のポジ
ションを確保するのは至難の業だと思っていた。

しかし、補助の解説者としては暴露的発言が多い点をマイナスしても、か
なり聞かせどころが多く、面白いと思って聞いていた。

その川崎が(先だったと記憶するが)先ず「アメリカではピッチャーの球
の出所(リリース・ポイントで良いと思うが)の見極めは、ワインドアッ
プないしはモーションで球がグローブから離れた瞬間にせよと教えられ
た」と語った。

更に「上原さんはその後のテークバックが短くて、アッと言う間に球が来
てしまうので、バッターにはあの球速のストレート(誤ったカタカナ語で
「ファストボール」である)でも150キロ以上に感じて振り遅れるか当て
損なうのだ」と指摘した。

これには武田も同調して「確かにリリースポイントというか球離れの見極
めをそう教えている。そこが問題で、上原は謂わばキャッチャーのような
投げ方で腕を後ろに引く距離が極端に短くて、しかも上が下に下がらず、
グローブから離れたと思った瞬間に来てしまうので、精々143キロ前後で
も打つ方は150キロ以上に感じてしまって、タイミングが取れないのだろ
う」と補足した。

そう聞いてみていると、上原以外の投手は田澤も含めて一旦ボールを持っ
た手が下まで下がってから、あらためて上から投げる形になっていること
に気が付いた。

こう書けばリリースまで如何にも長い時間がかかっている動作のようだ
が、恐らく1秒の何分の1かの違いだろうが、その違いが決して速くはない
上原の直球を威力があるものにしているのだろう。

しかし、上原が川崎に「また要らんこと言うたやろ」と怒鳴ったのは、こ
の暴露的解説の前日の発言を指しているので、このリリース・ポイントの
日米間の見極め方の相違点は未だアメリカのメディアが採り上げる機会が
なかったはずだろう。

上原が気に入らなかったのは第4戦で何か川崎が触れた別は話題だだった
だろうと思って聞いていた。言うなれば、「矢張りプロは見ているところ
が違う」なのだが、それは当たり前ではないか。

この手の解説はある程度以上野球を経験したか、沢山の試合を観戦してき
たファンには興味があることかも知れない。だが、1970年代だったかに元
早稲田大学・野球部の一軍に在籍されたY氏と共に、会社を抜け出して日
本シリーズをテレビ観戦したことがあった。

Y氏の言われることは謂わば全てそこまでの次元の野球を経験されていな
ければ到底出来る訳がない解説だった。「なるほど、彼らはそう考えて野
球をやっているのか」と非常に勉強になった。

そこでY氏に「何故テレビにで来る解説者は貴方のように本当のことを言
わないで、おざなりで解りきったような表面的なことしか言わないのです
か」と尋ねてみた。

答えは「本当のことを言って、ファンの人たちが野球の裏表までを知って
しまったら、解説者が要らなくなってしまうではないか。だから、彼らは
自分たちの職の確保のためにあの程度のことしか言えないし、また言わな
いものなの」だった。何かマスコミ全体に対する批判のようにも聞こえた
のだが、如何。前田 正晶




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