首脳会談で敗者となった習主席

北京でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)で安倍晋三首相との初の
首脳会談に臨んだ習近平国家主席の態度は異様なものだった。こわばった
表情はホスト役としていかにも不自然で、笑顔の安倍首相に挨拶の言葉を
かけられても反応すらしなかった。


余裕のある安倍首相の自然体と比べれば、習主席の態度は稚拙そのもの
だ。国際会議の晴れ舞台で「自信満々の大国指導者」を演じていたはずの
彼が何ゆえにこんな失態を犯したのか。

政権発足以来2年間、習主席はずっと安倍政権と対決路線をとってきた。
日本との首脳会談を拒否する一方、国内外においては「安倍叩(たた)
き」を進め、「極右分子・危険な軍国主義者」などの汚い罵倒を安倍首相
に浴びせた。そして尖閣周辺の海域と空域では日本に対する挑発行為をエ
スカレートさせている。

一方の安倍首相はその間、一心不乱に中国包囲網の構築を目指すアジア外
交を精力的に展開した。日米同盟を強化した上、東南アジア諸国との連携
を進め、あらゆる国際会議の場を借りて「力の支配」を企(たくら)む中
国に対する批判と牽制(けんせい)を行った。

その結果、アジアで孤立を深めたのは中国の方であった。一時にはベトナ
ムとフィリピンが反中国の急先鋒(せんぽう)となってしまい、
ASEAN諸国の大半も安倍首相の中国批判に同調する方へ傾いた。気が
ついたら、習主席のアジア外交は袋小路に入っていた。

習主席は何とか劣勢をはね返して外交を立て直そうとし、中国が議長国を
務めるAPECが最大のチャンスとみて着々と動き出した。まずはベトナ
ムとの対立を緩和させ、フィリピンとの領土紛争も一時的に休戦させた。
経済援助を手段に一部のアジア諸国を手なずけた。準備万端整えた上で習
主席はAPECの大舞台に立ったのである。

しかし彼には心配事があった。安倍首相の出方だ。中国が招かなくても、
安倍首相が国際会議参加のために北京にやってくる。そしてもし、安倍首
相がこの重要会議において相変わらずの中国批判を展開していたら、中国
にとっての晴れ舞台が台無しになってしまう。会議を利用してアジア外交
を立て直そうとする習主席の企みは、ご破算になりかねない。

中国は結局、安倍首相を「野放し」にするようなことはできなかった。そ
のためには首脳会談に応じる以外にない。もちろん中国はそう簡単に折れ
たくはない。「領土問題の存在を認める」「靖国は参拝しない」という2
つの条件を日本側に突きつけた。

しかし、安倍首相は最後までそれを拒否した。窮地に立たされたのは習主
席の方である。そしてAPEC開催の3日前、日中間でようやく4項目の
「合意文書」が交わされた。もちろんそこには「靖国」のやの字も入って
いないし、日本が認めたとされる「異なる見解」は決して「領土問題」を
指していないことは一目瞭然だ。つまり中国は、日本側に突きつけた2つ
の「条件」を自ら取り下げて首脳会談に応じた。

こういうことを強く意識しているからこそ、安倍首相との会談の冒頭、習
主席は自らの悔しさを覆い隠すために、条件を引き下げたことを国民の目
からごまかすために、わざと無礼な態度をとって虚勢を張るしかなかっ
た。その瞬間、習主席は文字通りの敗者となった。

習主席にとっての問題はむしろこれからだ。「靖国不参拝」を約束しな
かった安倍首相はいつでも参拝できるが、首脳会談に踏み切った習主席に
しては、安倍首相に「参拝されたら」大変なことになる。今後、安倍首相
に気を使わなければならないのは習主席の方だ。安倍首相を怒らせるよう
なことはそう簡単にできなくなる。首脳会談後の日中関係で優位に立つの
は、結局安倍首相の方ではないか。

【産経ニュース】 【石平のChina Watch】2014.11.13 07:04

                 
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